バリ島.吉川孝昭のギャラリー内


第5作 男はつらいよ


1970年8月26日封切り





松竹側のあまりにも露骨で早急な制作指示のため第3作、第4作と脚本までの参加となった山田監督にとって、案の定この2作品は
物足りなさが若干残る作品となった。自分が現場にいてこそ、痒いところに手が届くのである。やはり納得のいくものを自分の手で
作り上げるのが一番いいのは当たり前のこと。かくして山田監督は殺人的超ハードスケジュールをぬって、自分の手で「山田監督の
寅次郎」を甦らせるべく万全のキャストを使った。

テレビ版男はつらいよのメインキャストを駆り出したのである。おばちゃん役の杉山とく子さん、さくら役の長山藍子さん、博役の
井川比佐志さん、など気心の知れた人々を配し、テンポよく仕上げている。渥美さんも乗りに乗ってるという感じで、最初から最後
までまったくだらけた箇所が無い。寅次郎のネックのひとつでもある「労働の尊さ」というテーマがはっきり感じられるところもこの第5作
を懐の深いものにさせている。

それにしても第1作からこの第5作までの期間がちょうどたった1年!だなんてある意味異常な短さだ。
そのうえこの間にもあの名作「家族」を撮り終えているのである。山田監督初め、スタッフの方々もキャストの方々も才能と体力が充実し
ていたのだろう。続男はつらいよもこの第5作「望郷篇」もとても短期間で撮り終えているが、制作期間が短くても優れた作品はできるの
だということの証明にもなっている。あと、この作品は蒸気機関車がこれでもか!というほど出て来るが、あの力強い勇姿もこの作品に
リズムを与えている。

それと、これは私だけの感想かもしれないが、テレビ版さくら役の長山藍子と映画版さくらの賠償千恵子が同じスクリーン上で、登場する
シーンはやはり緊張感がそこはかとなく滲み出ていて、二人とも眼がキラリと光って女優魂を感じさせてくれる。なかなかシビアな場面だ。
いずれにしてもこの「望郷篇」は『活きのいいピチピチした作品』といえる。それゆえ、私のバリ島の14年間の滞在の中でも最も多く観た
作品のひとつである。






オープニングはいつものように松竹富士山だが、音楽は「男はつらいよ」の出だしとは異なる旋律。

夢のシーンから入る。

とらやのふすまの空いた部屋を次々に通って一番奥の臨終のきわのおいちゃんが伏している部屋にたどり着く寅。
なぜか裏庭は真っ赤な
夕焼け空。
第2作と良く似たシュールな空間である。この短いシーンはほとんどコントが使われていないが唯一、おいちゃんが息を引き取って、
おいおい無く寅に「おにいちゃん泣かないで」と声をかける
さくらの声が最後だけ「お客さんん…になるところが夢から覚めた瞬間への
橋渡しの役目でちょっと笑える。

                     


なお、この夢のシーンにはタコ社長もいる。
博はなぜか労働中の汗にまみれたシャツのままだが、この辺が今回のテーマ(労働)を
暗示
しているなかなか心憎い演出だ。

さくらの「お客さん」と言う声から谷よしの扮する安旅館の仲居さんの「お客さん」と言う声に変わっていく。

「お客さん、そんなかっこで寝てると風邪引くよ…」「よく降るネエ…」(朝ごはん盛り付けている)
長雨で売ができないで困り果てている寅
「テキヤ殺すニャ刃物は要らぬ、雨の三日も降ればいいってね、いっそのこと、カラッと晴れちゃくれねえかかな…」
頭で障子押してしまって『ステン!』と転ぶ。「あいて...いててて...」
(第2作の京都の旅館、巴屋でもこの転びギャグは使われた。)


                      


メインタイトル「男はつらいよ.望郷篇」赤黄青の字とバックは入道雲と青い空


                      



おなじみの口上

 「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかり姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの
 寅と発します。」



  ♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
   いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
   奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる


 第5作から↑この歌でほぼ定着。(例外は第1作参照)

今回は江戸川土手でのショートコントなし。こういうしっとりとした柴又風景描写もいいもんだ、と思う。私は結構好き。
特に帝釈天参道の亀屋さんや川千屋さんなどが映し出されてなかなか情緒ある演出だ。

私のようにバリ島に長く住んでいるとこういう下町情緒溢れる風景は特に嬉しい。
今回は後半で千葉の浦安が出てくるが、浦安は男はつらいよテレビ版で使っていた土地なので山田洋次監督にとっても
愛着のある土地のせいか、とても情緒たっぷりに描いていた。この第5作は2度美味しい作品である。
今はディズニーランドが出来てしまって、豹変したが…。





さくら、満男をベビーカー(乳母車)に乗せてピンクの麦藁帽子被ってとらやに入ってくる。暑そうである。
↑このピンク帽子って第1作で寅が冬子と釣りに行くために用意したものだ!
 満男(中村はやと君)も結構大きくなって幼児っぽくなってきた。


                       


 「とらやさん?どうしたの?みんな死んじゃったの?」←さくらの冗談結構きついぞ
 
おいちゃんもおばちゃんも暑さに参っている様子。
 おばちゃんなんか「クソ暑いのに葬式なんか出されちゃかなわないよ」って下町ギャグを飛ばしている始末。
 そこへ寅からの電話(夢で見たことが気になって...)
 おいちゃんたち寅をからかう
「もう息をしてるだけなんだよ...」「もう長いことなさそうだよ...」
 寅「やっぱり...」(正夢)音楽
♪ピッピロリ♪

 
おいちゃんさくらに「まくら、すまねえけどさくら出してくれ...」
 ↑森川信十八番まくらギャグ!!何度聴いてもおとぼけの面白さがある。

 このあと連続して、今度はお尻突き出し寝そべりギャグ!しみじみおかしい。


                         

                      
 一方寅は急ぎタクシーでとらやに向かう。車内で
「運ちゃん、あした友引か?友引だと困るんだよ火葬場休みだから...」
「運ちゃん、いまどきの暑さじゃ、仏は2日ともたねえかね?いよいよとなればドライアイスでもいい
けどな
...それより面倒なのは仕出しの弁当だよな。生ものじゃ腐っちゃうし...」

とらやでは、タコ社長が、おいちゃんと満男の寝顔見ながら、
「あと50年もたつとこの坊やもこうなっちゃうんだからねえー」はかないねえ人間なんて」


寅急いで入ってくる。♪ピロピロピッ♪
「おいちゃん!オレだよ!分かるかい寅だよ!...もう口もきけねえのか?」
虫の知らせっていうのはあるもんだなあ...」
「いいんだ、いいんだ、いいんだ、ピシーッと打つべきところにゃちゃんと手は打って
きたからなあー」

御前様「ご免、おかみさん、そんなに悪いのか!竜造さんが
危篤だとか...?おや、こんなところで起きてて
いいのかね??」
近所の人たちもあわてて飛んでくる。

井上葬儀店到着「このたびはご愁傷様で...」
寅「葬儀屋さん?あっ、
今日はいいなあぁ〜
帰ってくれ!帰って!

「死んだのはこのわしだ
バカ!」←さえる森川節

     


夜。とらやでみんなでもめにもめている。


朝日印刷
の工員たち2階から覗いて
工員A「また始まったのか?」
工員B「寅さんの帰ってきた晩って、必ずだなー」


このシーンからタコ社長の工場は
「朝日印刷」に変わりました。
(^^;)
第1作から第4作までは「共栄印刷」



博「それじゃ、おじさんが死ななきゃ恩返しができないっていうんですか?」

「生きてて葬式ができるかい!」
寅、博をこずく。

おいちゃんプッツン切れてさくらに

もってこい紐!そんなに死んでほしけりゃ死んでやらぁ!」←すごく細い紐
鴨居に火もぶら下げて、首を吊るまね。どすんと細い紐が切れる

おばちゃん「あらっ!、なにやってんだよこの人は!ばかだねえ」
「バカだよ!どうせオレは寅の血続きなんだから!バカだよ!」
「なにい!?」
「てめえのツラなんか見てるよりも死んだほうがましだってんだ!!」
「紐なんかいらないよ!オレがこの手で絞めてやるよ!!


                         


「出て行くよ!」「オレはどうせ邪魔者だよ!」
「さくら!止めるなよ!」(喧嘩の時にかならずこれがでる)
「オレは二度とこのうちには帰ってこねえからな!こんな心の冷てえ人間の住むところ
へはな!」
「さくら!止めるなよ!」「オレは本気だからな!」(障子におでこぶつける)
「さくら!止めるな!」
「なんだ、見せもんじゃネエ!」(店の前で)
「お兄ちゃん!私たちが悪かったわ、ね!」
「止めるなっていっただろ…」
「当たり前だよ、騙されたようなものだからな、オレ結果的にはよ」

(店の戸がスッと動いてよろける)
「本当に気の毒だったわね」
「おまえほんとにそう思っているのか?」
「思ってるわよ!だから、ね、中に入って…」
「まあ、おまえがそう言うんだったらまあ寄っていくか…」
さくら近所の人にあやまる。「どうもすいません…」
「たいへんだネエ…」


翌朝、寅、お天道様に向かってかしわ手2回打つパン、パン、
タコ社長が八戸からきた少年に工場を案内している。
「今は暑いですけどね、来年は冷房を入れる予定です。」
「労働者諸君!やってるな!結構、結構、けっこう毛だらけ
猫灰だらけ、おまえのお尻はクソだらけ!ってな、ハハ!」
「あっ、おまえ、新入りか?どっから来た?」
「青森県の八戸です。」

「アンレ、アゥオモリ ノ ハチノへ?
「なんで、あんな空気のきれいなところから、よりによってこんなうす汚いところへきたんだよ?
肺病にならないうちに帰したほうがいいんじゃねえか、えー?」


タコ社長「あの人はね、近所の不良で、キチガイだから相手にしない方が…」
↑(タコ社長すごい表現)

博怒る。
寅「上等だよ!あんな薄きたねえ小屋、頼まれたって行きたくネエーよ!よくおまえ、
あんなとこでもって辛抱してるね!ええ!
田へしたもんだよ蛙のションベン、見上げたもんだよ屋根やの
ふんどしだよ!!」


「おばちゃん腹減った朝めし朝めし」
「もう、冷えちゃってるよ…」
「上等、上等、温かい味噌汁さえあれば十分よ、あとはお新香海苔
たらこひと腹、ね!、からしのきいた納豆、これにはね、生ねぎ
を細かく刻んでたっぷり入れてくれよ!あとは
塩昆布生卵でも添えて
くれりゃ、おばちゃん、何もいらねえな、うん。」
↑すごい贅沢
と言いながらおいちゃんの丸めている草団子の
棒状のものをぶらぶら中に浮かせて
「あれ!?あっ、昨日からオレ
通じがねえんだ!」棒状団子をペチッと置て行ってしまう。
おいちゃん、怒って、棒状団子をべチッと叩き置く!

このシーンでは店の
店員の女の子が思いっきり映る!(相変わらずセリフ無し)
                      

                      


  登やってきて昔世話になった札幌の政吉親分の危篤を知らせる。
 
 とか、寅をかなり、のけものにしている。
「もし、死んだとなりゃせめてもの恩返し葬式一切オレが取りしきらにゃァならねえ!」
「あのやろう、なにかってえーと葬式ばかりしてやがんの!」 バリ人もいつも葬式ばかりしている。
とらやの面々
「ひょっとしたら出かけるかも知れぞ」「これで出てってくれるんだったらそのほうがありがたいよねえ」
↑結構冷たいぜ!とらやさん
登も寅も先立つものがない
寅、「社長〜♪」
「あッ!ころっと忘れてたよ!税務署行ってこなくちゃ!」
おばちゃん、店員さんが帰ってきたのを見て「いらっしゃい!」って逃げる。
おいちゃん「オレもころっと忘れてた!」
寅「なにを?」
「わからネエから、ちょっと近所で聞いてくらぁー、
なんか忘れちゃったなぁ、忘れちゃったなぁーオレゃー…」
「きたねえなあー!」
登「兄貴、この家じゃ、のけ者にされてるんじゃないのかい?」
「そこが渡世人のつれえところよ」
御前様にも断られ、最後にさくらの家に行く
さくらは長く説教する
「額に汗して油まみれになって働いている人と、いいかっこしてぶらぶらしている人と
どっっちが偉いと思うの?地道に働くってことは尊いことなのよ、あと5年か10年たって
きっと後悔するわよ。そのときになってからでは取り返しがつかないのよ!あー、ばかだ
と思ってももう遅いのよ!」
真剣に怒るさくら
それでも
5000円をタンスのカンカンから出して寅に渡す。
「いいのか?」
「いいのよ。いつだったか
満男に飴でも買いなってくれたでしょ。あのお金よ」
↑第2作の最初の方で出てくる帝釈天前のシーン(第2作参照)
寅反省顔で出て行く。
博「少し言いすぎじゃないか…」
「いいのよ、あれくらい言わないと分かんないのよ!」
             

アパートから出て
「いった!いった!うまくいったよ!おい!
タクシー呼べ!タクシー!」

全く反省無し!さくら可哀想(TT)




札幌

政吉親分の入院先病院の入り口
頭ぶつけ、「何だコノヤロー」と独り言
「昔、草相撲で
北海山という四股名で大関まで張ってたあんたさんが変われば
変わるもんだなー…」

             

 息子に「一度会いてぇ…」
「ただ一言すまなかったと言いてぇんだな親分!」

小樽に息子を探しに行く

ここから
機関車(D51)がバンバン出て機関車好きの山田監督の世界に突入!

蒸気がブァーと出て、驚き、たじろぐ寅と登
フーテン風の寅と機関士の対比が抜群の効果
労働の厳しさを
蒸気が暗示

         
   


「石田澄夫さんかい?」
「僕には父親はいません…関係ありません」
「コノヤロー!この薄情もの!引き摺り下ろしてやる!離せよ!腹巻が伸びちまう…」
「降りろ!!」←ホントの機関士さん怒鳴る。
発車後は缶を焚く澄夫
タクシーで追いかけるが、
銀山駅を通過してしまう。
「前、注視ー!」
「前。よおしー!」
「銀山定時通過ー!」
小沢駅で追いつく。
登、タクシーの運転手に、「2000円に負けてくれないか、おい、600円くらい…、
つらいとこなんだよ…」

「たとえ会ったこと無くたって、実の父親なんだよ、会いたいと思うのが血の繋がった親子の人情じゃネエか、ええ?」
「おまえ一度だって父親に会いてえと思ったことねえのか?ええ、青年?どうなんだよ?」
「本当は会ったこともあるんですよ…」
「うん…、え?、会ったことがあるのか?、親父にか?」


                  


「ええ…、小学校1年生の時でした。自分に父親がいると知らされて、無性に会いたくなっておふくろに内緒で
汽車で札幌まで行ったんですよね。あとで考えればそこは赤線だったんですね。その家までまで行ったら
女の人が大勢いて、父親だと指差された男が真ん中にいて女の人をなぐっていましたよ。
その女の人は泣いて謝っているのにその男は何度も殴るんです。僕はその男が鬼のように見えましてね、そのまま
帰ってきましたよ。
「一人で汽車に乗ってか?」「いいえ、帰りの汽車賃も持ってなかったので、
線路の上を歩いて帰りました。
そうすれば間違いなく帰れると思ったんですね。」

回想シーン、少年が線路の上を歩き、後ろから
警笛を激しく鳴らす汽車が迫る。
プッ!プッ!プッ!プーッ!!!

白黒映像で色を飛ばしぎみにして回想の雰囲気を強く出している。
山田監督にしては珍しく技巧的な表現


                          


おふくろが怒りましてね、さんざん殴られました。」

ひぐらし
が鳴いている(カナカナカナカナ…)←もの悲しい
「そのおふくろも5年ほどして死にました。可哀想な一生でした。」
「遊び半分に子供を生ませてあとは知らん顔で、今度は自分が死にそうだから息子に会いたいって、そんな身勝手なこと
ありますか?ふざけるなといいたいよ。なにが親父なもんかそんな男は」
このあたり美しく寂しい音楽流れる。
                  
「息子は転勤していなかったとそう言ってください…」

「5番出発進行ー!」「5番出発進行ー!」
「発車15秒前!」「発車15秒前!」
「発車合図確認!」 ブー〜
「発車合図確認!」
「発車!」「発車!」
プオー〜!!!

                  

 病院
「大変お気の毒ですが竜岡政吉さん今日の五時にお亡くなりになったそうです。」
寅、
赤電話持ったまま、呆然…

末次旅館
登に父親のいる八戸に帰るように怒鳴る
「バカヤロー!生息な口聞くな!
ケツに卵の殻くっ付けた小僧ッ子のくせしやがって
てめえなんかに親のの気持ちがわかってたまるか!」
このあとさくらが寅にした説教と同じ説教を登にする。
思いっきりコップ割って!
バリン!!は割った!!もうてめえとは兄弟でもなんでもない!
登を追い出す寅
階段の横に
「札幌オリンピックのポスター」
「兄貴のバカヤロー、トンチキ、
下駄づら!


とらや、あいかわらず暑い日が続いている。

リ―ン、リーン、
「誰かいねえのか?」
「誰かったって、私しかいやしないんだろ」
「お兄ちゃんもいろいろ考えたらしくてね、地道に働く決心をしたらしいのよ、ガラッと様子が
違うのよ。からかってなんかいやしないわよ!本当よ」←
ほんとさくらって兄思い(^^;)

「地道に?寅が?」
「あんまり暑いんでおかしくなったのかもしれないね」
「そうかもしれねえな。
もともと少しおかしい奴がさらにおかしくなりゃあ
案外こりゃあ案外こりゃ元に戻るかも知れねえぞ」

とらやに乳母車押して入ってくる寅(動きにあわせてドラムが
タタタタタッ!と鳴る)
帽子をちょっと浮かして挨拶(ドラムがタタタタッタタッ!
おいちゃん、おばちゃん
直立不動で出迎えている。
歩行にあわせて(ドラム
タタタッタ、タタタッタ


                 


「おいちゃん、おばちゃん、この度はどうもいろいろとご心配かけてすみませんでした」
「いやあ、あの、まあ、あの、どういたしまして、寅さんもお元気でなによりです。」
「はい」
「水風呂でも浴びて、冷たいビールでもどーお?」
「いけない!」
「皆様が汗水たらして一生懸命働いているのに一人だけ楽をするなんて!」
一歩進む(
ドラムタタタタッタ
おいちゃん、おばちゃん
柱に釘づけ
帽子を少しとって(ドラム
タタタタッタ
一歩一歩(ドラム
タタタッタ、タタタッタ…
「あっ、さくら、これから
汗水たらして地道に働くかと思うとなぜか身の内が引き締まるようだな」
ドラム、笛 タタタタッタ タタタタッタ…)2階に上がっていく
今回はなぜか荷物部屋のほうに上がっていく)←時々こちらのほうの部屋も使うようだ。



職業選びであーだこーだギャグ(この先もちょくちょくでてくるギャグ)

今回のお題は「地道な暮らし」(キーワード「額に汗」と「油まみれ」)
さくら「福寿司さん!お寿司屋さんなんかいいんじゃない?粋でサ!」
寅、浴衣姿で後ろに立っていて歩くたびに(大太鼓が
ドーン、ドーン
「さくら、おまえらしくないな、粋だとかイナセってのは今までのオレのことを言うんだよ。そんなものが地道な
暮らしとはオレゃ思えないな」
「寅さん、ウチの商売手伝っちゃどうだい?一番気心も知れてるし…」
「ダメだね…」
「どうして?」
「オレは何べんも言うように額に汗して油まみれになって働きたいんだよ、
この店で働いてそうなりますか?
おじさん、おばさん、あなたがたふたり汗水たらして働いていますか?
それくらいの理屈はわかるでしょう?

さくら「それ、もののたとえなんだけどなあ…」
「あったよ!さくら、テンプラ屋!」←たぶん「大和屋」さん
暑いし、汗も出るし!」
「確かに
油まみれにもなるわね」
「ダメだね」
「なぜ?」
「テンプラ嫌いだもん!」(私はこの気持ち分かる。嫌いな食べ物
を作ったり売ったり出来ないよね。)
「だって、おめえが食うわけじゃないぜ」
理屈じゃないんだよ、嫌いなものは嫌いなんだよ!」
「うーーーん…」

                    
                  
「早い話がさ、汽車の釜焚きとかさ…」←今回は
「汽車の缶焚き」に異常に憧れる寅です。
「あっ、ちょうどいいのがあるよ!これならぴったりだよ!ほら!菊の湯さん!」
「あそこの缶焚きのおじさん、辞めたがってるんだよ」
「ありゃ
暑くて汗が出るぜぇー!どうだい、寅さん?」
「ダメだよ、あれゃ、
地道な暮らしとは言えねぇ」
「どうしてよ!地道よ、あんな地道な仕事はないわよ」
おまえも考えが浅いね、缶だけ焚いてりゃいいよ、風呂屋にいりゃあなあ、暇な時には
三助のまねごとも
しなきゃならねえんだ。男湯ばかりじゃねえ、
女湯もあるんだ。ババアや子供ばっかりじゃないよ、たまには
三十過ぎの女ざかりの粋な芸者も来るかも知れねえや。それの肩なんか揉んでりゃさ、
つい調子にのって歌の歌の一つもでらあな。ね!

♪包丁一本〜サラシにまいーてー〜♪
あら、寅さんいい声ネエ、あしたお約束あるの?ねえ、この色男、
イテテテ…、あざになっちまうじゃねえか、
そんなことが地道な暮らしといえるかよ」
「なにもそこまで考えなくたっていいじゃねえか」


博「にいさん、お帰りなさい!」
「よお…」(ドラム
タタタタタタッタ!ジャーン!
まじまじと博の汗と油にまみれた体を見て、
と、…!手をさすって汗と油を匂う寅←ちょっと変態ぎみ(^^;)
「決まった!!明日からオレあんたの工場で働くぜ!これでめでたく仕事が決まったな、
今夜は早く寝るか」
「知らないよー」
「こっちだって知らないよー」(笛
ピロピロピッ!


翌朝、
ツナギ着た寅、口笛
「じゃ、これから
労働に行って来るからな!あっ、これか、博に借りてな!似合うか?」
ポーズ!!(写真参照)


            

「似合うよ」
「まじめにやってくるからな!」
すごい気張った顔で目をヒンムイテ言う

「あっ、おばちゃん、オレな帰ってきたらすぐ
風呂に入るからな、
風呂沸かしといてくれ。」
「あいよ」
「なにしろ
労働してくるからな!」
「うん、それじゃ、行って来る」
「あっ、それからね、風呂上がったら
冷えたビール飲む
からな!ビール冷やしといてくれ、
なにしろ
労働してくるからな!」
「わかったよ…」
「あっ、それからもうひとつ、できたら
按摩呼んどいてくれるか、
ちょっと
労働して筋肉揉みほぐすからな、」
「じゃ、行って来る!」
「あいよ…」←おばちゃんげっそり
「おいちゃん!
地道な暮らしってのはいいな!
                 
ポーズ!!「これか!」

「♪さて万国の労働者〜♪、
おはよー労働者諸君!
今日から僕は君達の仲間だぞ!
共に語らい、共に働こう!!」


「バカだねー、まったく…」
このあと工場はもちろんのこと、全ての店から断られることになる寅
さくら
自転車に乗って亀屋のご主人に挨拶しながらとらやに向かう
                  
さくら「断ったの?」
タコ社長「早く言えばネエ…」
近所の人も言い訳に来ている。
さくら寅を探しに自転車で土手に行く、「お兄ちゃーん」
渡しの小船の中で寝ている寅、勝手に流されて川下のほうへ…←浦安方面

             


半月ほどたって…

べたべたの小包がさくらのアパートに送られてくる。
とらやで開ける。中身は
腐った油揚げ
「やだよ、油揚げじゃないか」
「臭いよ!腐ってるよ!」←
この小包のギャグもちょくちょく使われる。

千葉県カツシカ郡浦安町28 三浦 方  車 寅次郎


手紙『さくら、つまらないものだが食べてくれ』
「腐ってるよ!」(再度おばちゃんのつっこみ)
『オレのことなら心配するな、地道に、油まみれになって働いている

暇な時、オレの服やなんかを送ってくれ、ひょっとするとオレは

一生
ここで地道に暮らすかもしれない。兄より』
女の店員さんまたしっかり映る。

おいちゃん「何?ちょっと、
一生?
さくら「そう、一生地道に暮らすかもしれない…」
「ただごとじゃねえよ…一生てぇのは、」
「こりゃなんかあるぜ、なんかあるよ…」

「知らねえぞ、オリャ、知らネエヨ…

次の入道雲はタイトルバックの雲と同じ

さくらが寅の家を探す。
下町情緒溢れる浦安
もちろん当時は
ディズニ―ランドはなく、寅の好きそうな雰囲気のあるいい町だった。
(私は中学校の先生をしていたころ、引率でディズニ―ランドに何度も行ったがもう
昔の浦安の面影はそこには無かった。)

豆腐屋を探し当てるさくら。

店から寅の
鼻歌が聞こえてくる。
「♪包丁一本、サラシに巻いーてー、かぁ、旅にでたのぉもー、
板場の修業ーて

『月の法善寺横町』
包丁一本晒しにまいて
旅に出るのも 板場の修行
待ってて こいさん
哀しいだろうが
ああ若い二人の
想い出にじむ法善寺
月も未練な 十三夜

藤島桓夫さんの歌,昭和35年のヒット曲


ちなみに私は大阪の出身でこの法善寺の近くの「夫婦善哉」というぜんざい屋さんで
ふたつのお椀に出てくるぜんざいをよく食べました。
このお店はぜんざいしかメニューになく、狭いけれど雰囲気のある店です。

寅の鼻歌「♪タララララララァ〜、ラララララララー…♪」

「あっ!さくら!」
「来たか!おい!」(さくらの両腕をつかんで喜ぶ)
「あっ、いけね、油ついちゃった」(腰のタオルで拭く)
さくら「こんなとこに…(住んでいたのね)」嬉しそう
「あっ、焦げてる焦げてる」
「見てくれよ、どうだい、おい!
額に汗してよ、ね!油まみれになって、
働いているんだよ、
地道な暮らしをしてよ!
「本当に油まみれね」
「そうよ、仕事ってぇのはね、何しても楽なものはないんだよ、ウン

              


節子の母親(
杉山とく子さんはテレビ版男はつらいよのおばちゃん役
「いやねぇ、二言目にはオレに似て、オレに似てってあんたのこと
自慢すんだよ」
「自慢なんかしちゃいねえよ、こんな口うるさい小姑みたいな妹
持ってよー、ただ、なんとなくさ、ツラがオレに似てるってことよ」
「いやだよ、ツラなんか似てやしないよ、ね、さくらさん」

「ええ、兄は色男ですから」さくらいいこと言うなあ
「いやー、うまいこと言うな!まいった、まいった」

さくら「ねえ…家の人留守なの?」
「へぇーじゃぁあのおばさんずっと一人でお店やってたの?」
「うん、…ぜんぜん一人ってわけじゃないけどね、もう一人いることは
いるよ…」
「え?誰?」
「子供だよ…」
「なにしてるの?その
息子さん」
「息子さんっていうんじゃないな、あれは…」
さん?!」
「まあ、そういうことになるんじゃない…」

「寅さんいるー?」←
残り30分でようやくマドンナ登場!
(シリーズ中最も遅い登場)
「ハイよ」

「はい!
ハタンキョウ!と袋渡しながら自分もひとつ口に入れる。
「節子!さくらさんだよ!」
★さあここから新旧さくら二人がハチアワセの場面!
「あ、ィモゥトサン…?」←
スモモを口に入れたままなのでこうなる
口から出してポケットへ仕舞い込む。

ハタンキョウ(別名:トガリスモモ).日本スモモの仲間で甘く果汁の多い品種。
代表的なものは、
山梨県の「甲州巴旦杏」で「ケルシー」と呼ばれてた。、現在はあまり市場に出回っておらず、
姿を消しつつある。
「ハタンキョウ」とはスモモが
万葉の時代に中国から伝来した時の古い呼び名

「兄がいろいろお世話になってます。」
「いいえ、私達こそいつもお世話になりっぱなしで、あのね、お噂はよく
、ねー、お暑いのに…、うん!いやだわ、寅さん!オレにそっくりだな
んていうからてっきり私!」

寅「
もっといい女だと思ったでしょう!ヒヒヒヒ!ヘへへ!」
節子と母親「ハハハ!ハハハ!!」
「バーキャロー!」
さくらだけが心配顔

             

帰り道
「いい人たちね、二人とも」
「口の悪いお袋と、気の強い娘だ、どおってことねえや」

「よお!にいさん!ここんとこ来ねーじゃネエか、豆腐食い飽きたか?」
「研修で箱根に行ってたから…」
「ほぉー、箱根、結構結構、けっこう毛だらけ猫灰だらけ、おまえのお尻はクソだらけ!」
「これ、オレの妹だよ!」
「どうも…」
何だ!そんな目したってダメだぞ、おまえ、こりゃ亭主持ちなんだからな!ハハハ!
「不器用な野郎だね、あいつは、
おまえの亭主の博に似てやしねえか?

                


井川比佐志さんはテレビ版「男はつらいよの」博役!
「同じ種類だな!」
コーヒー、ワイン、スナック「プチ」
「お兄ちゃん、あの、地道に暮らして、それから考えることも地道にね、あまり飛躍しちゃだめよ
「気をつけてな!あばよ!」
寅のラッパ「パープー」「パープー」

豆腐屋
「謙遜するにもほどがあるよ。立派な若奥さんだよね!」「うん」
「へへへ、とんでもねえ、あんなみっともねえ
オカメ、とても人前にゃ」
「寅さん、団子屋、団子屋っていうから私てっきり屋台のお店だとばっかり
思っていたら、ね、立派なお店みたいじゃない。」
「何が立派なもんか、あんなもの
犬小屋に毛が生えたようなもんですよ」
「帝釈様の門前町にあるんだろ立派なもんだよ」
「帝釈様なんて
豚小屋みたいなもんですよ」
「あらっ、有名なお寺じゃない、裏に江戸川があって」
「とんでもねえ、あんな川、
ドブ川みたいなもんですよ」
「なにも、江戸川まで謙遜することないじゃないか」

           

柱時計(ボーン、ボーン、ボーン)
「明日早いので失礼させていただきます。」

「乱暴な口利いているけれど、案外育ちがいいのかもしれないよ」
「あ…なに…?」
「じゃ、ぼく寝ます」(髪に手をあてちょっとポーズ)
「ぼく…寝ます」
♪ピロピロピロピロピロピーッ!パコパコパコパコパコパコ…ピピピピッピッ!


            


寺の縁日で源ちゃん見つけて説教
(源ちゃん
20円でお茶の急須売ってる←安すぎ)
「人間はな!額に汗して、地道な暮らしを…」
「ヘイ!」
「ヘイじゃない、ハイ!」
「寅さーん」
「ハイ!」
               

翌日
黒板に書いてある。
東商スーパー豆腐50、油揚げ130、江戸寿司油揚げ50、

「あら、」
剛来て、「ちょっと時間ないか?大事な話があるんだ。」

その夜節子母親と口喧嘩する。

「寅さん、まだ起きてたの?そっち行っていい?」
「どうかしたかい?」
「ちょっとね、かあさんと喧嘩したの…」
「あーきれいなお月様…」
「あーそうですね」
「天に軌道のあるごとく人それぞれ運命というものを持っております、か、」
「なあに?」
「三(産)で死んだが三島のお千、お千ばかりがおなごじゃないよ、」
「白く咲いたが百合の花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い」
「四谷、赤坂、麹町、チャラチャラ流れる御茶ノ水、粋な姐ちゃん立ち
ションベン!」


「あっ…」
「ハハハハハ」

                     

「寅さん、どうして
結婚しなかったの?」
「まあ、…いろいろあったしな、うん」
「寅さん、できたらね、…もしできたらずっと家の店にいてもらえないかしら?だめ?」
「いや、いいよオレはずっとそのつもりだったし、昔から豆腐大好きだからな」
「本当?本当によかったわ、本当によかったわ、これで安心できるわ」
ある意味節子のこのお願いって超自己中心的な発想、もしくはそうとう鈍感!

源ちゃん
「兄貴おめでとうございます。今のプロポーズやな」源ちゃんがこう誤解するのものも無理ない
自転車で「♪包丁1本〜サラシにマーイーテー♪」このあたりの浦安の情緒がいい!
                                 

              

寅、さくらに電話←赤電話ではない、それも電話ボックスから!
「ひょっとしたらオレ、こっちで所帯持つかもしれないよ。おい、みんなにはまだだまってろよ
ここだけのはなしだからな、おい!きいてるのか?」
「うん、聞いてる、もしそうなるといいね…」勘のいいさくらは不吉な予感、暗い音楽

さくらのアパート『コーポ江戸川』東京都葛飾区柴又4−23−26
ポスター「葛飾花火大会」主催葛飾区観光協会

豆腐屋の黒板に「寅さんパーティ」の文字。
寅、赤い新調の服着てくる。
「あれ!あら素敵!」
そこへ例の剛やってくる。
「なんだよおまえ、今時分来たって豆腐なんか売らないよ」
「いえ、違うんです。これ、買ってきたんです」←大きなスイカ
「いやね、節ちゃん、この前来た妹の亭主ね、それと感じが似てるんだ。まるでそっくりだよ。
だからね、おれどーもこれとは他人のような気がしねえんだな、あれか、やっぱり、
印刷工場で職工かなんかやってんのか?」

くりかえすが、井川比佐志さんはテレビ版「男はつらいよの」博役!
テレビ版を知っている人にとってはとても面白いところ!
「いや、国鉄です」
「この人ね国鉄の機関士なんだよ」
「缶焚きか!、ほう偉いねー、ありゃ大変な仕事だよ!いやあオレは見直しちゃったな
へぇー、そうでありましたか」
「あのね、この寅さんが、ずっとこの店を手伝ってくれることになったのよ」
「ほう!そうですか、そりゃ都合がよかった、どうぞよろしくお願いいたします!」
「う、うん、へへ…?」
「えっ?どうしておまえ、オレによろしくって…、あれっ?おかみさん、これ、親戚かなんかに
なってるの?」
「これから親戚になるんだけどね…」
このセリフのやり取りは第1作でも冬子の婚約者を紹介する御前様のセリフで使われた。

「おまえから肝心なことを説明しなくちゃ」

剛が節子との結婚の話を寅にする。

寅、割り箸口で割ってわなわなしながら
「何にも知らなかったからね、
さっちゃんも教えてくれなかったし」
↑動揺して節ちゃんを
さっちゃんといい間違えている。
「三枚目だよ、僕は」←寅のこの言葉をこの親子がこのときまじめに考えれば
もう少し寅は傷が浅かったかもしれない。

             


「ほんと、おめでとう」

「ずっといてくれる?」←
寅の動揺が伝わらない。ほんとこの節子さんって鈍感というか自分本位というか…
「ずっといてくれますよ、心配いりませんよ、」
母親「そのうち、ね、誰かいい人見つけてあげるからね、寅さん」←追い討ちをかけるように(TT)
「そうね!誰かいい人一人ね、みつくろって」
「どんなタイプがいいんだい、寅さんは?」
「そうね、やっぱり、
おかみさんみたいな人がいいなあ」
「やだよこの人は、ハハハハハ!」


このあたりの会話は寅
ほんとに可哀想だった。

事情を知っている源ちゃんだけ真顔で寅を見ている。


翌朝 浦安の漁師舟が次々に出て行く

「寅さんは?」
源ちゃん「どっかいってしまいました…」
「どうして?」
「知りまへん…」

「…」

とらや夜(葛飾花火大会)
さくら浴衣姿
「早く食べちまいなソーメン、早くしなくちゃ
仕掛け(花火)見られないよ」
サッポロビール予告編では「男は黙ってサッポロビール」の仕掛花火も登場)
「兄さん呼べばよかったですね」
「今日明日あたりふられて帰ってくるような気がしてならねえんだよ。」

電話
おばちゃん「ちょっと大変だよ!寅ちゃんいなくなっちゃったよ、やっぱり、ふられたんだよ!
バカだねー!」
後ろに寅が立っている。
「えっ?ひぇー!」←このパターンは
第2作でおいちゃんが葬式帰りに使ったギャグ
「お兄ちゃん、もうお店やめちゃったの?」
「やめちゃたよーへへへ…
ヘへへ…
花火 ババーン!バーン!

                            


タコ社長「連れてこなかったのかい?」
「誰を?」

「これをだよ!」
(小指)
「聞いてるようまくやってるようじゃないかよー、浦安の方でさー!」
「色男!ハハハ」
寅いきなり手で社長の鼻を押さえる
「うう!イタタタ!」
「寅さんの顔が笑ってる顔に見えますか!?」←この頃は博は時々寅のことを第三者には寅さんと言う。
「寅はふられたんだぞ」
「えっ?またか!」
駄目押し

寅トランク持って出て行く。さくら追いかける。
帝釈天の前
「また行っちゃうの?」
「うん」
「やっぱり地道な暮らしは無理だったよ、さくら」
「うん…」
「オレ昔からバカだったもんなあ…、だけどよぉ、さくら、あんちゃんはよう…今度は、
今度だけは、地道に暮らせると思ったよ」
「うん」
「本気でよ!」
「うん」
「やっぱりだめだよな…、おまえ、幸せに暮らせよ!」
「お兄ちゃん!」

曲がる時に
ちょっとさくらの方むいてその後去っていく(少し笑って)
花火バン!バン!バン!
この別れのシーンは美しい!
(この時、すでに第8作で使われた
喫茶店「ローク」が見える)


                

1ヵ月後

節子がさくらをアパートに訪ねてくる。

「どうしてかしら、どうして寅さん急に家を辞めちゃったのかしら、なにか訳があるんじゃ
ないかしら?」←さすがに節子もうすうす分かっているような話し振り
「別に訳なんて、口先ばかり良くって、結局兄はヤクザな人間なんですから、まともな暮らし
なんて飽きちゃったんでしょう、いつもそうなんですよ」

               


旅先からの節子に宛てた寅のハガキを読むさくら

 拝啓、
その後、お元気ですか。
私こと思い起こせば恥ずかしきことの数々今はただひたすら
反省の日々を過ごしております。
浦安にておかけしたご迷惑の数々くれぐれもお許しください。
なお、柴又におります、私の妹、愚かな女なれど、身寄り頼り無き
不幸の身の上ゆえ、なにかと、お力になっていただきたく、ひれ伏し
てお願い申し上げます。
末筆ながら、節子様の幸せを心からお祈りしています。

                                  
車 寅次郎    
このハガキのナレーションが流れている時さくらが江戸川の土手で
たたずみながら兄のことを思うシーンはよかった!


          


田舎の海岸で登と再会
「よぉー!」
「あー!!」
「お控えなすって!」
「お控えなすって!」
「それじゃ、仁義になりません、まずあんさんからお先にお控えなすって!」
「それじゃ、ひかえさせていただきやす」
「さっそくの、お控えありがとさんにござんす。わたくし、生まれも育ちも
葛飾柴又です。姓は車 名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と、発します!」


               


ハハハ!ハハハ!!

「兄貴ー!堅気になったんじゃねえのかよー!?」
「てめえだって、なにうろうろしてやがんだい!バカヤロー!」

「ちっとも変わってねーよー!!」

「バカヤロー、徐々に変わるんだよ!いっぺんに変わったら体に
悪いじゃねーかよー!!コノヤロー!」

ハハハ!!ハハハ!


遠くで蒸気機関車が通る プォー〜!!


           



製作     小角恒雄
企画     高島幸夫 小林俊一
監督     山田洋次
監督助手  宮崎晃
脚本     山田洋次 宮崎晃
原作     山田洋次
撮影     高羽哲夫
音楽     山本直純
主題歌    『男はつらいよ』
作詞     星野哲郎
作曲     山本直純
唄       渥美清
美術     佐藤公信
装置     小島勝男
装飾     町田武
録音     小尾幸魚
調音     松本隆司
照明     青木好文
編集     石井巌
進行     福山正幸
製作主任  峰順一
衣裳     東京衣裳
現像     東京現像所
協力     柴又神明会
 

出演   

車寅次郎   渥美清
さくら      倍賞千恵子
節子      長山藍子
御前様    笠智衆
車竜造    森川信

剛       井川比佐志
博       前田吟
登       津坂匡章(後の秋野太作)
澄雄      松山省二
車つね    三崎千恵子
梅太郎     太宰久雄
節子の母親 杉山とく子
源吉      佐藤蛾次郎

         木田三千雄
         谷村昌彦
         大塚君代
         谷よしの
         光映子
         山田百合子
         高木孔美子
         二宮順一
         山本幸栄
         石井愃一
         大杉侃二朗
         市山達己
         尾和義三郎
         高木信夫
         高杉和宏
         樫明男
         みずの皓作

 観客動員数 72万7000人



     完

              (第6作は数日後にアップし始めます。1月25日)

04年10月16日サーバーが変わりました。
新URLは
http://www.yoshikawatakaaki.com/です。

今後はhttp://www.yoshikawatakaaki.com/からアクセスしてください。よろしくお願いいたします。

お手数ですが http://yoshikawa.balibagus.com/をお気に入りに入れている方は再度
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